2年前、コロナ禍で礼拝のYouTubeライブ配信を開始して以来、スクリーンに映す礼拝タイトルの背景写真に、教会の敷地内に現在咲いている花を映し込んだ教会堂の写真を使うようにしました。味気ない画面に季節感を出し、コロナ禍で教会に足を運べない方々に、今教会ではこんな花が咲いていますよ、と知っていただくためでもあります。

5月は咲き乱れるチューリップ、6月は黄色く熟した枇杷の実と、月ごとに写真を変えていたのですが、YouTubライブ配信での家庭礼拝を守っておられるご家族のお一人が画面に映る花の映像を見て、「あっ、先週と同じだ!」とコメントした…という話を人づてに耳にして以降、じゃあ、毎週違う花の写真を使うぞ!と花の撮影のために駐車場の周りをうろつき歩く日々が始まりました。
駐車場の周囲にあるわずかな地面に生えているのはもっぱら雑草なのですが、気をつけて見ているといろいろな種類の植物が小さな花を咲かせています。名もない(名を知らない!)花々の写真を被写体に、毎週毎週礼拝で使う画面の背景写真を撮影し続けていますが、困ってしまうのは花が姿を消す冬の間。それでも12月には枇杷の木が初夏の結実に備えて花を咲かせたりするのですが、さすがに1月に入って教会の敷地から花の姿が完全に消えてしまいました。今年一番に花を咲かせるのはどの花か…。待ちわびていると、2月に入り、雪の中で青々とした葉を早くから茂らせていた水仙が清楚な花を咲かせ始めました。
「水仙の 香やこぼれても雪の上」
雪の間に咲く、香り高い水仙の美しい姿を詠んだこの俳句は、江戸時代の俳人として有名な加賀の千代女の作品。加賀国松任(今の石川県白山市)に生まれ育った千代女ゆかりの地として、白山市中町の聖興時というお寺に記念碑と記念館があります。実はこの聖興寺、私の生まれ育った実家のすぐご近所で、小さい頃はよく境内で遊んでいたのを懐かしく思い出します。
あっ、なんだかお寺の話になってしまいましたが、聖書にも水仙(ナルキッソス)という言葉が登場します。ローマ人への手紙の16章11節「ナルキソの家の主にある人々によろしく。」ナルキソ(水仙)という名を持つこの人物の正体はよくわからないのですが、彼のもとに多くのクリスチャンたちが集っていたことが分かります。
厳しい冬と冷たい雪の中で香りを放つ水仙のように、私たちもこの世にあってキリストの香りを放つ者とされましょう。
「私たちは、救われる人々の中でも、滅びる人々の中でも、神に献げられた芳しいキリストの香りなのです。」第二コリント2章15節