マルコ 5:1-20 - 口語訳聖書54/55年版
1
こうして彼らは海の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。
2
それから、イエスが舟からあがられるとすぐに、けがれた霊につかれた人が墓場から出てきて、イエスに出会った。
3
この人は墓場をすみかとしており、もはやだれも、鎖でさえも彼をつなぎとめて置けなかった。
4
彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、だれも彼を押えつけることができなかったからである。
5
そして、夜昼たえまなく墓場や山で叫びつづけて、石で自分のからだを傷つけていた。
6
ところが、この人がイエスを遠くから見て、走り寄って拝し、
7
大声で叫んで言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。神に誓ってお願いします。どうぞ、わたしを苦しめないでください」。
8
それは、イエスが、「けがれた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。
9
また彼に、「なんという名前か」と尋ねられると、「レギオンと言います。大ぜいなのですから」と答えた。
10
そして、自分たちをこの土地から追い出さないようにと、しきりに願いつづけた。
11
さて、そこの山の中腹に、豚の大群が飼ってあった。
12
霊はイエスに願って言った、「わたしどもを、豚にはいらせてください。その中へ送ってください」。
13
イエスがお許しになったので、けがれた霊どもは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れは二千匹ばかりであったが、がけから海へなだれを打って駆け下り、海の中でおぼれ死んでしまった。
14
豚を飼う者たちが逃げ出して、町や村にふれまわったので、人々は何事が起ったのかと見にきた。
15
そして、イエスのところにきて、悪霊につかれた人が着物を着て、正気になってすわっており、それがレギオンを宿していた者であるのを見て、恐れた。
16
また、それを見た人たちは、悪霊につかれた人の身に起った事と豚のこととを、彼らに話して聞かせた。
17
そこで、人々はイエスに、この地方から出て行っていただきたいと、頼みはじめた。
18
イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供をしたいと願い出た。
19
しかし、イエスはお許しにならないで、彼に言われた、「あなたの家族のもとに帰って、主がどんなに大きなことをしてくださったか、またどんなにあわれんでくださったか、それを知らせなさい」。
20
そこで、彼は立ち去り、そして自分にイエスがしてくださったことを、ことごとくデカポリスの地方に言いひろめ出したので、人々はみな驚き怪しんだ。