箴言 1:7-9:10 - 口語訳聖書54/55年版
7
主を恐れることは知識のはじめである、愚かな者は知恵と教訓を軽んじる。
8
わが子よ、あなたは父の教訓を聞き、母の教を捨ててはならない。
9
それらは、あなたの頭の麗しい冠となり、あなたの首の飾りとなるからである。
10
わが子よ、悪者があなたを誘っても、それに従ってはならない。
11
彼らがあなたに向かって、「一緒に来なさい。われわれは待ち伏せして、人の血を流し、罪のない者を、ゆえなく伏してねらい、
12
陰府のように、彼らを生きたままで、のみ尽し、健やかな者を、墓に下る者のようにしよう。
13
われわれは、さまざまの尊い貨財を得、奪い取った物で、われわれの家を満たそう。
14
あなたもわれわれの仲間に加わりなさい、われわれは共に一つの金袋を持とう」と言っても、
15
わが子よ、彼らの仲間になってはならない、あなたの足をとどめて、彼らの道に行ってはならない。
16
彼らの足は悪に走り、血を流すことに速いからだ。
17
すべて鳥の目の前で網を張るのは、むだである。
18
彼らは自分の血を待ち伏せし、自分の命を伏してねらうのだ。
19
すべて利をむさぼる者の道はこのようなものである。これはその持ち主の命を取り去るのだ。
20
知恵は、ちまたに呼ばわり、市場にその声をあげ、
21
城壁の頂で叫び、町の門の入口で語る。
22
「思慮のない者たちよ、あなたがたは、いつまで思慮のないことを好むのか。あざける者は、いつまで、あざけり楽しみ、愚かな者は、いつまで、知識を憎むのか。
23
わたしの戒めに心をとめよ、見よ、わたしは自分の思いを、あなたがたに告げ、わたしの言葉を、あなたがたに知らせる。
24
わたしは呼んだが、あなたがたは聞くことを拒み、手を伸べたが、顧みる者はなく、
25
かえって、あなたがたはわたしのすべての勧めを捨て、わたしの戒めを受けなかったので、
26
わたしもまた、あなたがたが災にあう時に、笑い、あなたがたが恐慌にあう時、あざけるであろう。
27
これは恐慌が、あらしのようにあなたがたに臨み、災が、つむじ風のように臨み、悩みと悲しみとが、あなたがたに臨む時である。
28
その時、彼らはわたしを呼ぶであろう、しかし、わたしは答えない。ひたすら、わたしを求めるであろう、しかし、わたしに会えない。
29
彼らは知識を憎み、主を恐れることを選ばず、
30
わたしの勧めに従わず、すべての戒めを軽んじたゆえ、
31
自分の行いの実を食らい、自分の計りごとに飽きる。
32
思慮のない者の不従順はおのれを殺し、愚かな者の安楽はおのれを滅ぼす。しかし、わたしに聞き従う者は安らかに住まい、災に会う恐れもなく、安全である」。
33
しかし、わたしに聞き従う者は安らかに住まい、災に会う恐れもなく、安全である」。

箴言 2
1
わが子よ、もしあなたがわたしの言葉を受け、わたしの戒めを、あなたの心におさめ、
2
あなたの耳を知恵に傾け、あなたの心を悟りに向け、
3
しかも、もし知識を呼び求め、悟りを得ようと、あなたの声をあげ、
4
銀を求めるように、これを求め、かくれた宝を尋ねるように、これを尋ねるならば、
5
あなたは、主を恐れることを悟り、神を知ることができるようになる。
6
これは、主が知恵を与え、知識と悟りとは、み口から出るからである。
7
彼は正しい人のために、確かな知恵をたくわえ、誠実に歩む者の盾となって、
8
公正の道を保ち、その聖徒たちの道筋を守られる。
9
そのとき、あなたは、ついに正義と公正、公平とすべての良い道を悟る。
10
これは知恵が、あなたの心にはいり、知識があなたの魂に楽しみとなるからである。
11
慎みはあなたを守り、悟りはあなたを保って、
12
悪の道からあなたを救い、偽りをいう者から救う。
13
彼らは正しい道を離れて、暗い道に歩み、
14
悪を行うことを楽しみ、悪人の偽りを喜び、
15
その道は曲り、その行いは、よこしまである。
16
慎みと悟りはまたあなたを遊女から救い、言葉の巧みな、みだらな女から救う。
17
彼女は若い時の友を捨て、その神に契約したことを忘れている。
18
その家は死に下り、その道は陰府におもむく。
19
すべて彼女のもとへ行く者は、帰らない、また命の道にいたらない。
20
こうして、あなたは善良な人々の道に歩み、正しい人々の道を守ることができる。
21
正しい人は地にながらえ、誠実な人は地にとどまる。しかし悪しき者は地から断ち滅ぼされ、不信実な者は地から抜き捨てられる。
22
しかし悪しき者は地から断ち滅ぼされ、不信実な者は地から抜き捨てられる。

箴言 3
1
わが子よ、わたしの教を忘れず、わたしの戒めを心にとめよ。
2
そうすれば、これはあなたの日を長くし、命の年を延べ、あなたに平安を増し加える。
3
いつくしみと、まこととを捨ててはならない、それをあなたの首に結び、心の碑にしるせ。
4
そうすれば、あなたは神と人との前に恵みと、誉とを得る。
5
心をつくして主に信頼せよ、自分の知識にたよってはならない。
6
すべての道で主を認めよ、そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにされる。
7
自分を見て賢いと思ってはならない、主を恐れて、悪を離れよ。
8
そうすれば、あなたの身を健やかにし、あなたの骨に元気を与える。
9
あなたの財産と、すべての産物の初なりをもって主をあがめよ。
10
そうすれば、あなたの倉は満ちて余り、あなたの酒ぶねは新しい酒であふれる。
11
わが子よ、主の懲しめを軽んじてはならない、その戒めをきらってはならない。
12
主は、愛する者を、戒められるからである、あたかも父がその愛する子を戒めるように。
13
知恵を求めて得る人、悟りを得る人はさいわいである。
14
知恵によって得るものは、銀によって得るものにまさり、その利益は精金よりも良いからである。
15
知恵は宝石よりも尊く、あなたの望む何物も、これと比べるに足りない。
16
その右の手には長寿があり、左の手には富と、誉がある。
17
その道は楽しい道であり、その道筋はみな平安である。
18
知恵は、これを捕える者には命の木である、これをしっかり捕える人はさいわいである。
19
主は知恵をもって地の基をすえ、悟りをもって天を定められた。
20
その知識によって海はわきいで、雲は露をそそぐ。
21
わが子よ、確かな知恵と、慎みとを守って、それをあなたの目から離してはならない。
22
それはあなたの魂の命となりあなたの首の飾りとなる。
23
こうして、あなたは安らかに自分の道を行き、あなたの足はつまずくことがない。
24
あなたは座しているとき、恐れることはなく、伏すとき、あなたの眠りはここちよい。
25
あなたはにわかに起る恐怖を恐れることなく、悪しき者の滅びが来ても、それを恐れることはない。
26
これは、主があなたの信頼する者であり、あなたの足を守って、わなに捕われさせられないからである。
27
あなたの手に善をなす力があるならば、これをなすべき人になすことをさし控えてはならない。
28
あなたが物を持っている時、その隣り人に向かい、「去って、また来なさい。あす、それをあげよう」と言ってはならない。
29
あなたの隣り人がかたわらに安らかに住んでいる時、これに向かって、悪を計ってはならない。
30
もし人があなたに悪を行ったのでなければ、ゆえなく、これと争ってはならない。
31
暴虐な人を、うらやんではならない、そのすべての道を選んではならない。
32
よこしまな者は主に憎まれるからである、しかし、正しい者は主に信任される。
33
主の、のろいは悪しき者の家にある、しかし、正しい人のすまいは主に恵まれる。
34
彼はあざける者をあざけり、へりくだる者に恵みを与えられる。知恵ある者は、誉を得る、しかし、愚かな者ははずかしめを得る。
35
知恵ある者は、誉を得る、しかし、愚かな者ははずかしめを得る。

箴言 4
1
子供らよ、父の教を聞き、悟りを得るために耳を傾けよ。
2
わたしは、良い教訓を、あなたがたにさずける。わたしの教を捨ててはならない。
3
わたしもわが父には子であり、わが母の目には、ひとりのいとし子であった。
4
父はわたしを教えて言った、「わたしの言葉を、心に留め、わたしの戒めを守って、命を得よ。
5
それを忘れることなく、またわが口の言葉にそむいてはならない、知恵を得よ、悟りを得よ。
6
知恵を捨てるな、それはあなたを守る。それを愛せよ、それはあなたを保つ。
7
知恵の初めはこれである、知恵を得よ、あなたが何を得るにしても、悟りを得よ。
8
それを尊べ、そうすれば、それはあなたを高くあげる、もしそれをいだくならば、それはあなたを尊くする。
9
それはあなたの頭に麗しい飾りを置き、栄えの冠をあなたに与える」。
10
わが子よ、聞け、わたしの言葉をうけいれよ、そうすれば、あなたの命の年は多くなる。
11
わたしは知恵の道をあなたに教え、正しい道筋にあなたを導いた。
12
あなたが歩くとき、その歩みは妨げられず、走る時にも、つまずくことはない。
13
教訓をかたくとらえて、離してはならない、それを守れ、それはあなたの命である。
14
よこしまな者の道に、はいってはならない、悪しき者の道を歩んではならない。
15
それを避けよ、通ってはならない、それを離れて進め。
16
彼らは悪を行わなければ眠ることができず、人をつまずかせなければ、寝ることができず、
17
不正のパンを食らい、暴虐の酒を飲むからである。
18
正しい者の道は、夜明けの光のようだ、いよいよ輝きを増して真昼となる。
19
悪しき人の道は暗やみのようだ、彼らは何につまずくかを知らない。
20
わが子よ、わたしの言葉に心をとめ、わたしの語ることに耳を傾けよ。
21
それを、あなたの目から離さず、あなたの心のうちに守れ。
22
それは、これを得る者の命であり、またその全身を健やかにするからである。
23
油断することなく、あなたの心を守れ、命の泉は、これから流れ出るからである。
24
曲った言葉をあなたから捨てさり、よこしまな談話をあなたから遠ざけよ。
25
あなたの目は、まっすぐに正面を見、あなたのまぶたはあなたの前を、まっすぐに見よ。
26
あなたの足の道に気をつけよ、そうすれば、あなたのすべての道は安全である。右にも左にも迷い出てはならない、あなたの足を悪から離れさせよ。
27
右にも左にも迷い出てはならない、あなたの足を悪から離れさせよ。

箴言 5
1
わが子よ、わたしの知恵に心をとめ、わたしの悟りに耳をかたむけよ。
2
これは、あなたが慎みを守り、あなたのくちびるに知識を保つためである。
3
遊女のくちびるは蜜をしたたらせ、その言葉は油よりもなめらかである。
4
しかしついには、彼女はにがよもぎのように苦く、もろ刃のつるぎのように鋭くなる。
5
その足は死に下り、その歩みは陰府の道におもむく。
6
彼女はいのちの道に心をとめず、その道は人を迷わすが、彼女はそれを知らない。
7
子供らよ、今わたしの言うことを聞け、わたしの口の言葉から、離れ去ってはならない。
8
あなたの道を彼女から遠く離し、その家の門に近づいてはならない。
9
おそらくはあなたの誉を他人にわたし、あなたの年を無慈悲な者にわたすに至る。
10
おそらくは他人があなたの資産によって満たされ、あなたの労苦は他人の家に行く。
11
そしてあなたの終りが来て、あなたの身と、からだが滅びるとき、泣き悲しんで、
12
言うであろう、「わたしは教訓をいとい、心に戒めを軽んじ、
13
教師の声に聞き従わず、わたしを教える者に耳を傾けず、
14
集まりの中、会衆のうちにあって、わたしは、破滅に陥りかけた」と。
15
あなたは自分の水ためから水を飲み、自分の井戸から、わき出す水を飲むがよい。
16
あなたの泉を、外にまきちらし、水の流れを、ちまたに流してよかろうか。
17
それを自分だけのものとし、他人を共にあずからせてはならない。
18
あなたの泉に祝福を受けさせ、あなたの若い時の妻を楽しめ。
19
彼女は愛らしい雌じか、美しいしかのようだ。いつも、その乳ぶさをもって満足し、その愛をもって常に喜べ。
20
わが子よ、どうして遊女に迷い、みだらな女の胸をいだくのか。
21
人の道は主の目の前にあり、主はすべて、その行いを見守られる。
22
悪しき者は自分のとがに捕えられ、自分の罪のなわにつながれる。彼は、教訓がないために死に、その愚かさの大きいことによって滅びる。
23
彼は、教訓がないために死に、その愚かさの大きいことによって滅びる。

箴言 6
1
わが子よ、あなたがもし隣り人のために保証人となり、他人のために手をうって誓ったならば、
2
もしあなたのくちびるの言葉によって、わなにかかり、あなたの口の言葉によって捕えられたならば、
3
わが子よ、その時はこうして、おのれを救え、あなたは隣り人の手に陥ったのだから。急いで行って、隣り人にひたすら求めよ。
4
あなたの目を眠らせず、あなたのまぶたを、まどろませず、
5
かもしかが、かりゅうどの手からのがれるように、鳥が鳥を取る者の手からのがれるように、おのれを救え。
6
なまけ者よ、ありのところへ行き、そのすることを見て、知恵を得よ。
7
ありは、かしらなく、つかさなく、王もないが、
8
夏のうちに食物をそなえ、刈入れの時に、かてを集める。
9
なまけ者よ、いつまで寝ているのか、いつ目をさまして起きるのか。
10
しばらく眠り、しばらくまどろみ、手をこまぬいて、またしばらく休む。
11
それゆえ、貧しさは盗びとのようにあなたに来り、乏しさは、つわもののようにあなたに来る。
12
よこしまな人、悪しき人は偽りの言葉をもって行きめぐり、
13
目でめくばせし、足で踏み鳴らし、指で示し、
14
よこしまな心をもって悪を計り、絶えず争いをおこす。
15
それゆえ、災は、にわかに彼に臨み、たちまちにして打ち敗られ、助かることはない。
16
主の憎まれるものが六つある、否、その心に、忌みきらわれるものが七つある。
17
すなわち、高ぶる目、偽りを言う舌、罪なき人の血を流す手、
18
悪しき計りごとをめぐらす心、すみやかに悪に走る足、
19
偽りをのべる証人、また兄弟のうちに争いをおこす人がこれである。
20
わが子よ、あなたの父の戒めを守り、あなたの母の教を捨てるな。
21
つねに、これをあなたの心に結び、あなたの首のまわりにつけよ。
22
これは、あなたが歩くとき、あなたを導き、あなたが寝るとき、あなたを守り、あなたが目ざめるとき、あなたと語る。
23
戒めはともしびである、教は光である、教訓の懲しめは命の道である。
24
これは、あなたを守って、悪い女に近づかせず、みだらな女の、巧みな舌に惑わされぬようにする。
25
彼女の麗しさを心に慕ってはならない、そのまぶたに捕えられてはならない。
26
遊女は一塊のパンのために雇われる、しかし、みだらな女は人の尊い命を求める。
27
人は火を、そのふところにいだいてその着物が焼かれないであろうか。
28
また人は、熱い火を踏んで、その足が、焼かれないであろうか。
29
その隣の妻と不義を行う者も、それと同じだ。すべて彼女に触れる者は罰を免れることはできない。
30
盗びとが飢えたとき、その飢えを満たすために盗むならば、人は彼を軽んじないであろうか。
31
もし捕えられたなら、その七倍を償い、その家の貨財を、ことごとく出さなければならない。
32
女と姦淫を行う者は思慮がない。これを行う者はおのれを滅ぼし、
33
傷と、はずかしめとを受けて、その恥をすすぐことができない。
34
ねたみは、その夫を激しく怒らせるゆえ、恨みを報いるとき、容赦することはない。どのようなあがない物をも顧みず、多くの贈り物をしても、和らがない。
35
どのようなあがない物をも顧みず、多くの贈り物をしても、和らがない。

箴言 7
1
わが子よ、わたしの言葉を守り、わたしの戒めをあなたの心にたくわえよ。
2
わたしの戒めを守って命を得よ、わたしの教を守ること、ひとみを守るようにせよ。
3
これをあなたの指にむすび、これをあなたの心の碑にしるせ。
4
知恵に向かって、「あなたはわが姉妹だ」と言い、悟りに向かっては、あなたの友と呼べ。
5
そうすれば、これはあなたを守って遊女に迷わせず、言葉巧みな、みだらな女に近づかせない。
6
わたしはわが家の窓により、格子窓から外をのぞいて、
7
思慮のない者のうちに、若い者のうちに、ひとりの知恵のない若者のいるのを見た。
8
彼はちまたを過ぎ、女の家に行く曲りかどに近づき、その家に行く道を、
9
たそがれに、よいに、また夜中に、また暗やみに歩いていった。
10
見よ、遊女の装いをした陰険な女が彼に会う。
11
この女は、騒がしくて、慎みなく、その足は自分の家にとどまらず、
12
ある時はちまたにあり、ある時は市場にあり、すみずみに立って人をうかがう。
13
この女は彼を捕えて口づけし、恥しらぬ顔で彼に言う、
14
「わたしは酬恩祭をささげなければならなかったが、きょう、その誓いを果しました。
15
それでわたしはあなたを迎えようと出て、あなたを尋ね、あなたに会いました。
16
わたしは床に美しい、しとねと、エジプトのあや布を敷き、
17
没薬、ろかい、桂皮をもってわたしの床をにおわせました。
18
さあ、わたしたちは夜が明けるまで、情をつくし、愛をかわして楽しみましょう。
19
夫は家にいません、遠くへ旅立ち、
20
手に金袋を持って出ました。満月になるまでは帰りません」と。
21
女が多くの、なまめかしい言葉をもって彼を惑わし、巧みなくちびるをもって、いざなうと、
22
若い人は直ちに女に従った、あたかも牛が、ほふり場に行くように、雄じかが、すみやかに捕えられ、
23
ついに、矢がその内臓を突き刺すように、鳥がすみやかに網にかかるように、彼は自分が命を失うようになることを知らない。
24
子供らよ、今わたしの言うことを聞き、わが口の言葉に耳を傾けよ。
25
あなたの心を彼女の道に傾けてはならない、またその道に迷ってはならない。
26
彼女は多くの人を傷つけて倒した、まことに、彼女に殺された者は多い。その家は陰府へ行く道であって、死のへやへ下って行く。
27
その家は陰府へ行く道であって、死のへやへ下って行く。

箴言 8
1
知恵は呼ばわらないのか、悟りは声をあげないのか。
2
これは道のほとりの高い所の頂、また、ちまたの中に立ち、
3
町の入口にあるもろもろの門のかたわら、正門の入口で呼ばわって言う、
4
「人々よ、わたしはあなたがたに呼ばわり、声をあげて人の子らを呼ぶ。
5
思慮のない者よ、悟りを得よ、愚かな者よ、知恵を得よ。
6
聞け、わたしは高貴な事を語り、わがくちびるは正しい事を語り出す。
7
わが口は真実を述べ、わがくちびるは悪しき事を憎む。
8
わが口の言葉はみな正しい、そのうちに偽りと、よこしまはない。
9
これはみな、さとき者の明らかにするところ、知識を得る者の正しとするところである。
10
あなたがたは銀を受けるよりも、わたしの教を受けよ、精金よりも、むしろ知識を得よ。
11
知恵は宝石にまさり、あなたがたの望むすべての物は、これと比べるにたりない。
12
知恵であるわたしは悟りをすみかとし、知識と慎みとをもつ。
13
主を恐れるとは悪を憎むことである。わたしは高ぶりと、おごりと、悪しき道と、偽りの言葉とを憎む。
14
計りごとと、確かな知恵とは、わたしにある、わたしには悟りがあり、わたしには力がある。
15
わたしによって、王たる者は世を治め、君たる者は正しい定めを立てる。
16
わたしによって、主たる者は支配し、つかさたる者は地を治める。
17
わたしは、わたしを愛する者を愛する、わたしをせつに求める者は、わたしに出会う。
18
富と誉とはわたしにあり、すぐれた宝と繁栄もまたそうである。
19
わたしの実は金よりも精金よりも良く、わたしの産物は精銀にまさる。
20
わたしは正義の道、公正な道筋の中を歩み、
21
わたしを愛する者に宝を得させ、またその倉を満ちさせる。
22
主が昔そのわざをなし始められるとき、そのわざの初めとして、わたしを造られた。
23
いにしえ、地のなかった時、初めに、わたしは立てられた。
24
まだ海もなく、また大いなる水の泉もなかった時、わたしはすでに生れ、
25
山もまだ定められず、丘もまだなかった時、わたしはすでに生れた。
26
すなわち神がまだ地をも野をも、地のちりのもとをも造られなかった時である。
27
彼が天を造り、海のおもてに、大空を張られたとき、わたしはそこにあった。
28
彼が上に空を堅く立たせ、淵の泉をつよく定め、
29
海にその限界をたて、水にその岸を越えないようにし、また地の基を定められたとき、
30
わたしは、そのかたわらにあって、名匠となり、日々に喜び、常にその前に楽しみ、
31
その地で楽しみ、また世の人を喜んだ。
32
それゆえ、子供らよ、今わたしの言うことを聞け、わたしの道を守る者はさいわいである。
33
教訓を聞いて、知恵を得よ、これを捨ててはならない。
34
わたしの言うことを聞き、日々わたしの門のかたわらでうかがい、わたしの戸口の柱のわきで待つ人はさいわいである。
35
それは、わたしを得る者は命を得、主から恵みを得るからである。わたしを失う者は自分の命をそこなう、すべてわたしを憎む者は死を愛する者である」。
36
わたしを失う者は自分の命をそこなう、すべてわたしを憎む者は死を愛する者である」。

箴言 9
1
知恵は自分の家を建て、その七つの柱を立て、
2
獣をほふり、酒を混ぜ合わせて、ふるまいを備え、
3
はしためをつかわして、町の高い所で呼ばわり言わせた、
4
「思慮のない者よ、ここに来れ」と。また、知恵のない者に言う、
5
「来て、わたしのパンを食べ、わたしの混ぜ合わせた酒をのみ、
6
思慮のないわざを捨てて命を得、悟りの道を歩め」と。
7
あざける者を戒める者は、自ら恥を得、悪しき者を責める者は自ら傷を受ける。
8
あざける者を責めるな、おそらく彼はあなたを憎むであろう。知恵ある者を責めよ、彼はあなたを愛する。
9
知恵ある者に教訓を授けよ、彼はますます知恵を得る。正しい者を教えよ、彼は学に進む。
10
主を恐れることは知恵のもとである、聖なる者を知ることは、悟りである。